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      [会長談話] 医療保険制度改革関連法案の成立に強く抗議する
2015年5月29日
石川県保険医協会
会長 西田直巳

 5月27 日、参議院本会議において、「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案」が、可決・成立した。提案された改正法は、国民健康保険法のみならず健康保険法、高齢者医療確保法など我が国の医療保険制度全般にわたって、これまでの制度を大きく変えていく「一括法」である。しかしながら、衆参両院では参考人質疑を除きわずか37 時間しか審議時間がとられず、参議院委員会採決においては、法案のほとんどの項目に対して附帯決議が出されるなど、審議が尽くされたとは到底言えないものであった。地域医療をになう医師・歯科医師として、本法案の可決について、強く抗議する。

 本法案は、昨年の「医療介護総合法」に続き、「社会保障・税一体改革」の理念の下での具体的法改正である。そこには、社会保障分野における国家責任を放棄し社会保険を国民相互の助け合いの制度へと矮小化することを目指す、一体改革の基本理念が色濃く反映している。@入院時食事療養費の患者負担額の大幅引上げ、大病院に紹介状なく受診した患者への新たな自己負担創設などの大幅な負担増、A保険のきかない医療の拡大に道を開く混合診療へとつながる「患者申出療養制度」の創設、B市町村国保財政運営の都道府県単位化など、その一つ一つが国民生活に重大な影響を及ぼすものである。

 とりわけ、国保財政の都道府県単位化は、「医療介護総合法」で具体化された地域医療ビジョンに基づく医療機能の強制的分化施策とあいまって、そして、本法案における「医療費適正化計画」の見直しによる医療費目標設定ととともに、都道府県に公的医療費抑制の役割を担わせる重大な改定である。患者・国民が人権として保障されている、必要な医療・介護を受ける権利を奪うことにつながり、断じて容認できない。

 我々も含めた全国の保険医団体には、患者・国民からの「負担増計画をやめてほしい」という願いのこもった23 万筆を超える請願署名が届けられた。この中には、石川県の患者からの貴重な一筆一筆も含まれており、我々には、この署名を国会に送り届けた責任がある。我々は、これからも地域医療に責任をもつ保険医として、憲法25 条2項で国家に課せられた社会保障の「向上増進義務」を対置し、「国民のいのちと健康を守るのが国の仕事である」という「当たり前の」社会保障実現に向けて、全力を挙げる。そして、患者・国民と手を携えて粘り強く活動を続けていくことを、ここに表明するものである。



 
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