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「持論」 … 『石川保険医新聞』第432号主張欄

 今月より、診療報酬が改定された。本体部分で0.3%の引き上げと言いながら、その実情は大変厳しいものになっている。
 中でも、外来管理加算の算定要件に、診察時間5分以上とする「時間要件」の導入は、医療現場にさらなる負担と、無用の混乱を引き起こすだけのものと言わざるを得ない。
 そもそも、外来診療には多様性があり、どうしても30分以上の面談を要するものもあれば、ほんの1分程度で十分コミュニケーションのとれる場合もある。医療を受ける側と提供する側との、いわば「あ・うん」の呼吸が存在するのである。
 定期受診している患者が診察室に入って椅子に座るまでの間ですら、主治医は多くのことを察知することができる。現在の治療がうまくいっているか、何か今までと変わったことがあるのか、またそれらを患者がどう受け止めているかなど、ちょっとした態度や表情の変化が大きな情報をもたらしてくれることは、臨床医がしばしば経験することである。

外来管理加算  時間要件の導入 直ちに撤廃を

 それに対し、厚生省通知という形で診療時間の定義にまで言及したうえで、一律5分間という縛りを設けることに、何の意味があるというのか。また、同じく通知の中で「診療内容の事例」なるものが示されているが、これもファーストフードの接客マニュアルかとも思えるもので、ここまでくると怒りを通り越して、気恥ずかしさすら覚える代物である。
 現場をないがしろにした机上の空論で、医療費抑制のみをめざすことは断じて容認しえない。
 言うまでもなく、診療所の経営に多大な影響を与えることはもちろんであるが、より甚大な影響を受けるのは200床未満の中小病院であろう。現場の勤務医の負担は増加するばかりで、経営状態の悪化も不可避であり、地域医療がますます危機に瀕することは、想像に難くない。これによる医療崩壊の加速は、まさに「人災」である。
 国民生活に多大な負担と不便を強いる元凶ともいえる医療費抑制策を改める第一歩として、外来管理加算の算定要件変更の撤廃を強く求めるものである。

<石川保険医新聞 第432号より転載>


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